平安時代の仏像を"触ってきた" 。河津町 南禅寺(なぜんじ)2023年5月
最近更新をサボっておりました。
この間にも県内の色々なところを周り、美味しいものを頂いたり、貴重なものを見たりしているのですが、それらに関しては追々後日談として書いていきたいと思っています。
さて先日とても貴重な体験をしてきました。
タイトルで示した通り
平安時代に作られたとされる仏像に"触って"きました。
場所は河津町谷津にある南禅寺(なぜんじ)というところです。
河童の御朱印で有名な栖足寺(せいそくじ)から車で15分ほど山道を登ったところにあるお寺なのですが、なかなかボロい...もとい趣のあるお寺さんです。
ただ、本堂の横に
河津平安の仏像展示館
という建物があり、こちらは新しく作られた建物のようで、とても綺麗でした。
中に入ってみるととても不思議な光景が広がります。
三体の仏像以外ボロボロになっています。
なぜこのような姿の仏像が並んでいるのかというと、そこにはすごい歴史があります。
元々この地には、8世紀の中頃から行基(歴史の教科書に出てくる偉いお坊さん)が作った仏像を多数収めた
那蘭陀寺(ならんだじ)
というお寺があったそうです。
そのお寺が1432年に起きた山崩れのため土に埋もれ、そのまま廃寺となったそうなのですが、1541年に南禅和尚という方が埋もれた仏像を掘り起こし、それらを祀るお寺として南禅寺を建立したと伝えられているそうです。
(諸説ある模様。今後の調査に期待。)
ここでひとつ疑問が。
100年以上土に埋もれていたのに、何故木製の仏像が朽ちなかったのでしょう?
その答えとして考えられているのが、"地質"だそうです。
仏像が埋もれていた土は粘土質の土だったため、木の腐敗が食い止められていたのではないかと考えられているそうです。
この奇跡のようなお寺、南禅寺の御本尊"薬師如来坐像(やくしにょらいざぞう)"は、平安時代前期(9世紀)の作とされ、静岡県内最古の仏像です。
その他にも比較的形が残っている"地蔵菩薩立像(じぞうぼさつりゅうぞう)"と"十一面観音立像(じゅういちめんかんのんりゅうぞう)"、そして土の中で多少腐食してしまった仏像や神像が20数体あり、全て平安時代時代の作とされています。
ここまでの話でも十分凄いのですが、更に凄いのはこれら平安時代の仏像のひとつに"触る(さわる)"ことが出来ます。
この触れる仏像のお話がとても素敵でした。
"僧形坐像(そうぎょうざぞう)と言われるこの仏像は、もともと文殊菩薩(もんじゅぼさつ)か南禅寺に関係した僧侶の像ではないかと考えられているそうです。
ですがその後、おびんずる様(※)という考え方が広まって来た時、この仏像もなで仏として扱われるようになり、それが現在でも続いています。
そんな貴重ななで仏を現在でも私達が撫でる事ができるのは、南禅寺のある河津町谷津地区の方々の決断のおかげなんです。
そのお話はまた後日という事で。
今回はここまで。
※おびんずる様
なで仏。自分の体の悪いところを撫でるとその部分が治ると考えられていた。
日本、〒413-0515 静岡県賀茂郡河津町谷津138
日本、〒413-0515 静岡県賀茂郡河津町谷津129